The Everything Breaks “So We Play Loud Now!”
metaphysics」〜So we play loud now!によせて〜文 Kazuo PocCartney
平日の昼日中にふと、近所の立ち飲み屋に寄ってみる。カウンターでは髭すら長髪の彼が酩酊し「昔は良かった」だとか「おらぁまだまだやれるんだぜ」等とクダを巻き、しまいには「神も仏もありゃしねえ」と言った。私は、自分の立場もわきまえずのうのうと意気がる彼に憤りを感じ、救いのない時代にこんなとこでなにを言ってんだ、あなたのように昼日中から立ち飲み屋でグダグダとクダを巻くような輩は不必要だから消えてくれないか、と言った。彼はよだれと日本酒をグイッと一気に飲み干し、呂律のまわらない口調で言った。「ハレルヤ。明日が素晴らしい日でありますように」「だからオイラに一杯奢ってくれよ」冗談にもほどがあるよ。明日にも首を吊りそうなあなたに言われたって説得力なんてないしましてや一杯奢る気なんてさらさらないんだから。コップに残った日本酒を一滴残らず、舐めるように飲み干した彼は
侮蔑と怒りのまじった眼で私に言った。「おい坊主。俺が今にも首を吊りそうだって良いたいのか?」「ハハハ」「なんならここのクソ汚れた便所で今すぐ首を吊ってやってもいいんだぜ?」「死ぬことなんて怖かぁねぇんだ」「だっておらぁ、何度だって復活できるんだから」『神様が住んでるという場所にオレを連れてっておくれ』このフレーズから始まるナンバー、「覚醒する存在」から1st AL 「So we play loud now!」は幕を開ける。Voの吐き捨てるようなポエトリーディングに感化されたようなDrのフレーズ。TEBを象徴するにふさわしいオープニングナンバーである。70年代UKPUNKに影響を受けたサウンドは「Buzzcocks」や「The Vibrators」を連想させがちだがそれだけではなく「17」からは80sや90sの匂いを、「Painless pain」からはR&Bのエッセンスやグランジを感じさせるのがこのバンドの奥深いところでもあり魅力の一つだ。全ての楽曲のボトムを支えるのは間違いなくGtであり、コンダクターのように導く方向性を示す。それが顕著に表れているのが「Lost & Found」のイントロ部分のGtのカッティングである。それに答えるかのように自由を与えられたBaは、フレットを自由に飛び回り、この楽曲に更なる彩を加えている。収録曲の中でも秀逸なのが、1980年代に活躍したUKPOPBAND名とほぼ同名のタイトルを持つ3曲目「Johnny Hates」。清涼感溢れるメロディーと人懐っこさ併せ持つこの曲は間違いなくTEBの代表曲として長く愛される事だろう。そして理想的な1stALを作り上げたTEBも長く愛されるBANDになってほしいと切に願う。最後に1stDEMO「The Everything Breaks」の1曲目、「Cracking」で私たちに「共犯者」にならないかとTEBは誘いかけている。『神様は知っている僕達は罪深く、小さな嘘を隠していることを』『どうか、僕の手をつかんでくれないか?』そして、TEBは確かめに行こうと決心したのだと気付いた。『神様が住んでるという場所にオレを連れてっておくれ』TEBと「共犯者」にならない手はない。END
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