45年経って「朝が来た!」って…
ボブ・マーリーが死んだ時(81年)、日比谷野音で行われたレゲエ・シンジケート主宰の追悼イベントに参加した一人だ。今となってはもうその記録も文献も見当たらない。今アジアで、真心ブラザーズの「朝が来た!」(NHK 0655 テーマ曲)が最も人気の日本の歌の一つだそうだ。このシンプルかつパーフェクト、しかもパワフルでドラマティックな24小節を聴いたら「うっしゃあー!」と一日が始められる人は多いのだ。最初の4小節で十分かも。そうこの曲はボブのSoul Captives(70年)のカバーだ。まだ無名の頃にジャマイカの奴隷制のことを歌って「囚われの魂は自由だ!」と叫んだ。真夏の朝日のように明るいメロディでもテーマは重い。そもそもデビューは17歳、ジャマイカがイギリスから独立した62年だ。スラムの少年が36歳で国葬されるまでに上り詰めていくパワーの源がここに凝縮されていたのだ。それが45年後の今アジアの人々を元気づける素となるとは… ボブの音楽、この曲を蘇生させたプロデュース陣、メディアのセンスとパワーに、あらためて頭を垂れるしかない。<寺西潔>
Soul Captives -Youtube